おすすめCD(その8)(こりゃまた8ページ目!)


<第32作>「ハナミズキ」 一青 窈





昨年は「もらい泣き」で各種新人賞を総ナメにしてしまった、あの一青窈さん
の5枚目のシングルです。当然曲としては「もらい泣き」のほうが巷では知ら
れているのですが、2月11日に出たばかりのこの最新曲の方を今回私はオスス
メCDとして取り上げたいと思います。

「もらい泣き」が出たときに、これはまた変わった歌い方をする人がいるもん
だなと思ったものです。なんにしても耳につくあの「ええいああ」のフレーズ
(彼女に言わせればこれはかけ声なんだそうですが)、そして絞り出すような
唄い声。一生懸命歌に没頭して唄うのは共通しているので、うちの親などは結
構遅くまで鬼束ちひろと混同してたみたいですけど、一青窈さんの歌い方には
また独特の味があると思います。その歌い方の源がどこにあるのかなと思って
いたのですが、彼女のOfficialHPを閲覧してみたら彼女のメッセージが載って
おり、そこに

「あたしは歌ってるとき身体中に生を感じながら、、あー、もう死んでもいい
って死を意識しながら歌う」

という一節がありました。まさに、ははーなるほどと思いましたね。彼女は命
をふりしぼりながら歌っているのかと。たしかにそんな感じですもんね。

そして今回の「ハナミズキ」です。植物の花水木には日米友好にかかわるエピ
ソードがあります。明治45年東京市長だった尾崎行雄が、アメリカに桜を送っ
た返礼として贈られたのが花水木だったとか。そしてその親交がその後100年
続いている。自分の大切な人との気持ちも100年続けばいいな、と言う、とっ
てもストレートな愛の歌のように聞えます。

でも実はこの曲、一青窈さんはあの911同時多発テロを受けて作られたとのこ
と。そしてその後コンサートでだけ歌い継がれて来たのが、このたび「火曜サ
スペンス劇場」の主題歌になったことを機にシングル化されたのだそうです。
同時多発テロに刺激されたらストレートな反戦歌になってしまいそうなもので
すが、これを日米友好の証の花水木をモチーフに「人と人とのきずなも100年
続けばいい」とさらっと歌ってしまうところは彼女の静かな凄さではないかと
思いました。

この曲も含まれた2ndアルバム「一青想(ひとおもい)」が4/7リリースとの由。
楽しみですぅ・・・


1.ハナミズキ 作詞:一青窈 作曲:マシコタツロウ 編曲:武部聡志
2.年年歳歳  作詞:一青窈 作曲、編曲:武部聡志
3.ハナミズキ(Instrumental)
 CCCA15622 (P)2004 COLUMBIA MUSIC ENTERTAINMENT INC.


 


<第33作>「Precious days」 I WiSH



本当に久しぶり(まる1年空いちゃったんじゃないかな(__))に、お気に入りC
Dのご案内です。今回は、「あいのり」の主題歌「明日への扉」で一世を風靡した二
人組、I WiSHのラストシングルとなるこの曲です。今となってはすでに明らかになっ
たI WiSHのボーカルaiこと川嶋あいさんが、自分を育ててくれた路上ライブ活動を
完成させ、そこから独自の道を歩みたいという思いからこの二人組を解消することに
なり、その卒業に際して作った曲がこの「Precious Days」ですが、内容的にもこれ
は、今後定番の卒業式ソングになりそうな内容に仕上がっています。

「Precious days」というのは、訳してみれば「あの素晴らしき日々」てな感じでしょう
かね。ちと大袈裟かな(^^;)。「たいせつな日々」くらいかもですね。どういう加減か
一昨年くらいから高校や中学の同窓会をする事が妙に多くなってきました。
高校のクラス会のHPは一昨年から、そして昨年末には中学の同窓会のページまで
作っちゃいました。懐かしいネームが集まって来ていて、嬉しいようなくすぐったいよ
うな、ヘンな感じです。我々の世代もぼちぼち健康を気にせねばならない年頃ですが、
またそういった「古き良き時代」をどうも懐古する世代でもあるようです。

この「Precious days」を聴いていると、そういった「古き良き時代=素晴らしき日
々」が本当に脳裏にふつふつと浮き上がってきます。でも、ということはこの川嶋あ
いさんが描く高校時代は、あまり現代的じゃないなんてことになるのかなーなんて思
ったりもするのですよね。「青い空、仲間と流す汗、飲みかけのジュースを分け合っ
た」だとか、「いろんな季節を刻んだ校舎の想い出たちに僕らの匂いをつけた」って、
とてもいいフレーズでじんときてしまうのだけれど、今の高校生も果たしてこんな思
いを持つのだろうかななんてね。

そしてこの曲はやはリ最後に一番の感動が待っています。「大人になる、まだよく判
らない、でもきっと今より強くなるんだ 新しい朝日浴びて同じくらい輝こう」と旅立ち
の決意を語り、「さよならぼくたちの「Precious days」・・・」と結びます。今でも思い
出しますが、高校の卒業式のとき、まさにこのような感慨を抱いたのです。大学進学
という4文字にずいぶん縛られたけれど、それでもやはり人生のなかで一二を争う
「たいせつな」時間だったのではないかと思える3年間でした。でも、それは「子供」
としての最後の3年間でもありました。いよいよ名実共に「大人になる」事の不安と
憧憬を胸いっぱい感じていたことを、この曲を聴いてまさに昨日のことのように思い
出して胸が詰まりました。

それにしても、「明日への扉」「ふたつ星」「約束の日」の三部作、そして「キミと僕」
「伝えたい言葉」と並んで来たI WiSHのラインナップに比べて、やはりこの最後の曲
はかなり「川嶋あい」の等身大の姿が前面に出ています。ということは、この曲で彼
女が名実共に「I WiSHから卒業する」事の決意もまたこの最後の数行に込められ
ているということなのでしょう。

いろんな意味で感慨深い卒業ソングです。ぜひご一聴をお勧めします・・・

1.Precious days 作詞:ai 作曲;nao 編曲;家原正樹、nao
2.最後のホーム  作詞:ai 作曲;nao 編曲;家原正樹、nao
3.Precious days(オリジナルカラオケ)

SECL 143 (P)(C)2005 SME Records Inc.

なお、I WiSHのオフィシャルホームページに解散に際しての二人のメッセージが載せられています