おすすめCD(その9)
もうかなり間が開いたので、その9としてしまいました
<第33作> 「Denim」 竹内まりや
ご存知スローバラードの名手、竹内まりやさんの6年ぶりとなるオリジナルアルバムです。
相変わらずのご夫婦の共同作業で、ほとんどの曲(2曲だけ除いて)がまりやさんの作詞・作曲、ご主人山下達郎氏の編曲となっています。じつはこれ前々から思っていたのだけど、達郎氏の作曲といってもおかしくないほど曲調はよく似ていますよね。ですから、その影響は相当大きいのだろうと推察しています。
さて、今回のアルバムですが、何というか実に懐かしい感じが最初はしました。映画「約束」の主題歌となった「天使のため息」や、TVドラマ「白い影」の主題歌であった「真夜中のナイチンゲール」を彷彿とさせるような曲が数曲存在(「返信」や「終楽章」など)し、まさにそのあたりを思い出させてくれたからです。それに今回のアルバムでもドラマやCMとのタイアップ曲は多くて、やはりそういう才能がこの二人にはあるんだなんて俗な納得をしかかっていたのですが、ケータイ(LISMO)にアルバムごと保存してずっと聴いているうちに、「何故、Denim?」ということがわかってきました。実はその答えはブックレットのご本人のライナーノートに書いてあったのではありますが、あまりそういうの読まずに聴く方なので・・・
実際、今回Denimという名の曲はありません。最後の曲「人生の扉」にたった一節
「君のデニムの青が
褪せていくほど味わい増すように
長い旅路の果てに
輝く何かが誰にでもあるさ」
とあるだけなのですが、聞き込んでいくとこの一節が実に味わい深いものとなってきます。そう思ってよくこのアルバムに収録された曲たちを眺めなおしてみると、若い頃の何も怖いものなどないという時代の甘い甘い恋や哀しい結末を迎えた恋(でもこれはまだ人生の前半)の曲、少し熟していろいろ人生が判ってきた頃の大人の恋や、恋愛感情ばかりでない、人生の大切なパートナーを得たうれしさを表した曲、人生の後半、愛する人に先立たれた悲しみを歌った曲・・・つまり人生のいろんな場面を切り取った曲が連なっているのです。
そしてそのライナーノーツを見るとまさに書いてあるのです、「人生はまるでデニムのようだと、私は思う」と。
「歴史とともに素敵に色褪せたその青には、若き日のあのインディゴにはなかった深い味わいが生まれているはずだ」。今年ですでに52歳を迎えた竹内まりやさんならではの言葉だなぁと改めて思うとともに、数歳年下ではありますが、まさに私自身もそういう年齢になって同じことを痛感したからこそ、このアルバムが手放せなくなってしまったのだろうと思います。
「人生の扉」には
「満開の桜や色づく山の紅葉を
この先いったい何度見ることになるのだろう」
というフレーズもあります。多分90歳越えるまで生きるよと歌詞の中で宣言している彼女が一方ではこういう気持ちになっていることもまたこの歳になればよくわかるんですよね。同世代の皆さん、きっと感動を覚えます。ぜひご一聴をお勧めします・・・
01. 君住む街角(On The Street Where You Live)
02. スロー・ラヴ
03. 返信
04. みんなひとり
05. シンクロニシティ(素敵な偶然)
06. 哀しい恋人
07. Never Cry Butterfly
08. ラスト・デイト
09. クリスマスは一緒に
10. 終楽章
11. 明日のない恋
12. 人生の扉
01: 作詞:ALAN JAY LERNER 作曲:FREDERICK LOEWE 編曲:服部克久
07: 作詞:杉真理 作曲:杉真理・伊豆田洋之 編曲:Piccadilly Circus
他はすべて 作詞・作曲 竹内まりや 編曲:山下達郎(05&12 with センチメンタルシティロマンス、11with服部克久)
品番:WPCL-10405/6
税込:\3,059 税抜:\2,913