My Opinion BackNumber2

何か間違ってる・・・(2001/3/14)

「何か間違ってる」と最近思う事の多い社会情勢ですけど、今日はまたまた豊
中市の行政の理不尽さを痛感する出来事がありました。

今夜の管理会議での話ですが、訪問看護ステーションの車の駐車許可証をステ
ーション所長が申請しに行ったそうなのです。診療所の車の往診時の駐車に関
しては、往診中の札があれば認めてもらえているので、当然訪問看護において
も必要だと言う事で申請に行ったのですが、そこでのお役人の対応が次のよう
だったそうです。

「往診はいいけど、訪問看護で認めたらヘルパー(訪問介護)でも際限なく認
 めないといけなくなる。だから基本的には認めない」

しかし、実際にはどうしても駐車しないといけない事態があり得るのは事実な
ので、その旨を話して粘ったのだそうで。そうしたらなんと

「毎月1ヵ月から2ヵ月分ずつ発行している訪問看護指示書を添付して、その
 都度(つまりほとんど毎月、あるいは隔月というわけです)、しかも患者個
 別に申請してもらうならいい」

ということを言うのだそうです。これを聞いて某老人保健施設付属のステーシ
ョンの所長が、指示書なんてものは患者個別のプライバシーだからそんなもの
を公開するくらいなら駐車違反にでもなんでもなると怒ったといいますが、ま
ったく同感です。

介護保険が始まって制度は一人歩きしてるけれど、その実対応した施設は非常
に少ないというのが相変わらずの現状のハズです。すこしでも条件をよくして
そういった施設、設備の充実に努力するのが行政の急務だと思うのに、訪問看
護がかえってできにくくなるような対応をするなんてまったく逆方向ではない
ですか。そこで駐車を認めたら豊中市の道がすべて訪問看護ステーションやヘ
ルパーステーションの車で埋まると思っているのでしょうか。ばかばかしい。
違法駐車が問題になっているとしても、もっと規制すべき相手は別にいるはず
です。

まったく、国の中央が腐ってたらこんな末端まで役人の世界が腐ってくるので
すね。なんか間違ってますよこの国は、ホンマに・・・

この記事に関して毎日新聞「読者のひろば」欄に関連記事が載り
ましたが、それについての公開質問状を毎日新聞社にメールしま
した。→こちらへ

(2001/6/30)
7月の参議院選挙を迎えるにあたって

 「史上最低の内閣」森政権が崩壊し、「前代未聞の高人気」の小泉政権が発
足して2ヵ月。先日の東京都議会議員選挙の結果を見るまでもなく、いまだ小
泉内閣は国民の間で高い支持率をもって受け入れられています。

 史上最低と比較すればどんなものでもよく見えるのは当然ですが、今回の小
泉内閣は自民党内部からも造反や反発が起こるような「改革」を国民に見える
形で進めると言う政策が多くの国民の気持ちを掴むことに成功しているのだと
思います。そこに、与党として参加している公明党や保守党はもちろんのこ
と、本来最大野党として対決すべき民主党までが「一定認めざるを得ない」と
言う態度をとっている事がこの傾向を助長しています。

 しかし、今国民がほんとうに小泉内閣に期待している事は、日本の政治が根
本から変わる事です。そして、本当に国民生活を改善してくれるような、暖か
い政治をしてくれる事です。しかし、彼は真にその期待に応えきれるのでしょ
うか。彼が唱える経済政策、福祉政策はともに、「多少とも痛みを伴なわずし
て得れるものはない」という考えで進められているものですが、その「痛み」
がいまだに一番弱い者に一番厳しくかかって来る、という構造は実はこれまで
となんら変わっていないのです。

 私たちは医療者の集団ですから、医療制度の面でその矛盾が一番見えていま
す。制度だけが先走りして設備の伴わない介護保険制度。健康日本21と称し
て健康指標を提起しながら、一方で慢性疾患の原因を全て患者自身にあるとす
る「生活習慣病」の概念。そして国民の日常の健康を確認し、疾病の早期発見
をするための健診制度が行政レベルで縮小されていると言う事実。非常に身近
なところでもこれだけの矛盾が見えます。しかもその全てが「国民医療費が大
きくなりすぎると国民生活を圧迫するから」という理由で切り捨てられて来て
いるものです。これが本当に国民のための政治と言えるのでしょうか。

 私たちは医療者として、国民の健康である権利を侵すこれらの政策をそのま
まにはしておけません。やはり根本からの政治の変革がどうしても今必要です。
そのためにも今の人気に乗っかった小泉政権を暴走させないよう、各野党には
強く監視を行っていただくことを望みます。そして豊中医療生協としては、そ
の自民党への監視をきちんと強めていただける事、また弱者の立場になって今
後の保険医療構想などを考えていただける事を一番根本に置いて政党/候補者
を選んでいただきたいということを、豊中医療生協の組合員のみなさん、また
このページを見ていただける全てのみなさんに強く訴えたいと思います

 どうかみなさんの御理解、御協力をお願い申し上げます。

(2001/9/12)
平和ボケしてる場合じゃない!!

9/11に発生したニューヨークのテロ事件は、間違いなく歴史に残る大惨事です。
1万人にものぼると思われる生命が奪われ、米国のみならず全世界の経済にも
影響を及ぼした罪は例を見ないくらいに重く、当然犯人に対しては最高度の法
的処罰がとられるべきだと思います。何よりこんなテロ事件がうまく行ったな
どと犯人側に思わせると後を引きますから。

そういったテロを憎む気持ちは誰に劣るものでもないと思っていますが、一方
で誰もが「今後世情はどうなるのか?」を不安に思っていると思います。それ
はまさに日米安保条約による同盟関係から来る具体的な不安であることは言う
までもありません。

今朝の診療で、喘息でかかっておられるH氏が診察に来られましたが、普段よ
り血圧は高く、喘息の調子も悪く、なにより真っ赤な目をしておられました。
彼の出身地は沖縄。昨夜は故郷のことが心配でTVに齧りついたまま一睡もで
きなかったと言っていました。当然のことで、米国が報復処置をした結果戦争
状態になれば、大きな在日米軍基地のある沖縄は日本の中で真っ先に標的にさ
れる場所の一つであることは間違いないですから。

しかし、同盟関係であるかぎり日本全体が巻きこまれることは避けられないで
しょう。今回のことに関する限り、日本は何も悪くないはずであり、何もして
いないはずなのにです。これこそがこれまで私たち民医連に属する医療機関が
安保条約の末にあるものとして危惧し、警告して来た危機そのものです。日本
が米国のテロ対応に対して同感し、その徹底した追求と処罰を支持するのはや
むを得ないことかと思いますが、安保条約にからめてではなく、一つの自立し
た国家としてその態度を示したかったと心から思います。

これからしばらくの間は、私たちは「今日とおなじ明日が来るかどうかは判ら
ない」という大きな不安を抱えなければなりません。平和ボケしている場合で
はないですね・・・


(2001/12/28)
日本の未来を見る思い・・・

今日は本年最後の診療所午前外来。今週火曜・水曜の状況から見ても今日も相当
混み合うかと思いましたけど、今日は普段並みの60人強でした。そのかなり最初
の方に来られたSさんは、普段は米国在住で東京との間を行き来しており、年末
年始の間だけ実家のある豊中に帰って来られる方です。で、その帰省時に必ず全
身チェックを受けに来られるのですが、今日もそういうことで来られて腹部エコー
を施行、そのあとに「実は今日はダンナが一緒でね・・・」といって中待ち合い
で待っておられた夫君を呼び入れられたその彼を見たらばなんと米国人。ちゃん
と日本語通じたので助かりましたが(^^;;

彼が言うには「昔腎臓の感染症をやったのだが、今日は左のお腹の横の方が痛い
ので妻と同じ検査を受けたい」のだそうで。そこでエコーで見てみるのですが、
どうやら腎盂腎炎のあとがあるのは右のようで、左にはなにもありません。おそ
らく腸のガスの影響で痛んでいるんでしょうと話すととても喜んでくれたのです
が、お二人とも国保なので

「こうやって検査受けに来られたら結構費用もかかりますねぇ」

なんてお愛想を言ってみたら、

「これで今日はいくらかかるんですか?」
「この検査だけでお二人で3300円かな。血液もあるから全部で8000円くらいかか
っちゃいますね」

ところが彼の反応が

「うーん、やっぱり日本で受けたら安いな」

ええっ?そうなんですか?と聞き返したら奥様の方が

アメリカじゃ数万円とられたですからね。健康保険てものがあちらないか
 ら。」

との由で、なるほどと納得しました。でもそのあとで

でもなんだか日本も今後こうなるんですかねぇ。当面5割になるって言ってる
 し・・・

と・・・。

今コイズミ政権が打ち出している医療制度改悪案ではとりあえず彼女の言われる
通りの自己負担増が中心ですが、首相が厚生大臣であったころからその「改革」
で最終的に目指しているのは米国型の医療制度だと言われています。つまり公的
保険の全廃・民間保険の導入ですね。

たしかに国民医療費はいよいよ増えて来ていますし、それが日本の財政を揺るが
しているのも事実です。だからこの変革に対する思いを伺ってもすべての人が反
対を唱えるとは思いません。でも、こうやって8000円を安いなと言える人はまだ
いいのですが、実際には今の老人医療の自己負担分1回800円をキツイなという
家庭が現にあるのです。特にこの不況でリストラの嵐にまきこまれて来年から受
診どうしようと真剣に相談されて来た方もおられます。そんな方にとってこの
「改革」は命を削られるに等しい思いがすることでしょう。

彼ら夫妻とお話しして米国の現状を伺ってみて、本当にこのまま「改革」が突っ
走ったあとの日本の未来を見るような思いを持ちました。「金の切れ目が命の切
れ目」にだけはなってほしくない。私たち民医連の職員すべての心からの願いで
す・・・


とかげの尻尾切り(2002/3/11)

いよいよこの間ではもっとも衆目を集めていると言っても過言ではないムネオ議
員の証人喚問が行われましたね。与党の自民党が1時間取って、各野党は10分ず
つでは疑惑の解明には程遠いのではないかと思っていましたが、案の定ムネオ氏
は記憶にない、忘れた、反省する(反省するだけならサルにだってできる!)を
繰り返して逃げる。最後にツジモト氏と取っ組み合いやったけどこれも完全解明
に繋がるものではなかったようです。まぁ灰色がいよいよクロくなりはしたよう
ですが。しかしロッキード事件の頃から喚問される証人はことごとく選択性健忘
症候群になるようですねぇ。

ところで、この証人喚問で案外自民党の委員も追求してるし、ムネオ氏に対して
自民党も政府も派閥も結構冷たいので一見奇異な感じを受けましたが、ここを良
く考えると大切な事に思い当たりました。今国会はムネオ議員の離党や議員辞職
が論議の中心で、そこに今回カトウ氏の問題が起こって来たので、この二人の責
任の取らせかたから野党が自民党を追い詰める、という図式になって行くと思う
のですけど、ちょっと立ち止まってこのムネオ氏問題が起こって来た根本はなん
だったかを思い起こすに、これはもともとマキコ元外相が外務省改革をやろうと
してムネオ氏及び更迭された(ハズの)ノガミ元次官との間に言った言わないの
問題が起こったことが発端だったと思うのです。

つまり根本は外務省改革だったはずなんですよね。それが、今やムネオ氏だけの
問題になって来てノガミ氏やマキコさんはすでにカヤの外という感じになってい
ます。自民党や政府にしてみたら、ここで問題をムネオ氏に集中させ、そこを最
終的に切ってしまったら外務省改革はうやむやになってちょうどいいと思ってい
るのではないのでしょうか?カトウ氏がタイミング良く問題を起こしてくれたの
もこう考えると政府に取っては好都合です。もしかしてこれも仕組まれていたの
では?なんて疑いたくなるほどです。

ムネオ氏が今の疑惑の総合商社状態では助かる道はほとんどないように見えます
し、いろんなところに影響がありますからここを詰める事でさらに大きな問題の
追求に繋がるのは当然としても、野党は今後の国会対策方針として自民党のとか
げの尻尾切り政策に惑わされる事なく、この根本問題に立ち戻ることを決して忘
れてほしくないと思います。


有事立法いつの間に・・・(2002/4/15)

国会がムネオ疑惑から始まった議員の足の引っ張り合いをしていて、エエかげん
まともな議論をしてくれんかなーと思ってるところへ昨日は共産党が「官房機密
費」の使途についての暴露発表を行ったりして、迷妄国会の様相ばかりだと思っ
てたのですが、今日のニュースをよく聞いていたらなんとコイズミ内閣のひとつ
のテーマと言われる「有事立法」について、16日にでも閣議決定されるところま
で来ていると言うではないですか。これには正直びっくりしました。野党も足の
引っ張り合いしてる場合じゃないですよ。

そう言えば先日の党首討論で、社民党の土井党首がコイズミ首相の「備えあれば
患いなし」についてコメントして揚げ足取られてましたね。あれって、あの秘書
給与問題に絡んだ話だとばかり思ってたんですけど、こっちの話だったようです
ね。

とりあえず今回の法案としては、有事においての運搬、医療など(私たちが関わ
るとすればまさにこの「医療」分野でしょうが)での協力要請に対し拒否しても
罰則規定はなく、ただ秘密保持であるとか物資の保管などを拒否した場合に限り
罰則がつく事にはしたらしいけど、仮に今回これでもいったん法律が成立してし
まえば、その「改正」や実施規則、細則で強制力を高める事はいくらでも可能に
なります。

医療従事者である私たちの思いとしては、基本的に民医連の医師として戦争政策
そのものに絶対反対であると言う事が一番ですが、民医連かどうかを離れても、
私たちがそもそも「医療従事者を目指した」動機、それはやはり「人の命を救い
たい」「人を苦しみから救いたい」という気持ちだったはずです。もし私たちの
行う医療行為の結果でせっかく救えた命が、こんどは他の命を奪う、あるいは再
度その命を捨てに行く、そんなために使われるとしたらこれほど哀しく辛い事は
ありません。しかし有事立法下では医療従事者はこれを強制されることになるわ
けです。

これは政治的な思想信条もさることながら、医療従事者として絶対守るべき「医
学の根本原則」に反することだと思います。私たち医療従事者はこんなこと
は絶対に許せません。心からこの有事立法の法案成立には反対の意
を表したいと思います・・・



完全にモラル不在に・・・(2002/7/13)

今や日本にモラルという言葉はなくなったのか?と思わず叫んでしまいたくな
るような話がまたもや国会でありましたね。最近は国会で何があっても特別な
にも感じないようになって来てたんですけど、それでもこの話はひどい。

何がというと、あの厚生労働省副大臣の、大学入試あっせん問題です。あっせ
んって言い方はおかしいかな。入学や就職問題でもこんな頼まれ事はしょっち
ゅう、往々にしてあること、と堂々と、笑みさえ浮かべて言いきっていました
ね>副大臣。小池参議院議員が「笑ってお答えになるようなことでは
ないでしょう!」と気色ばんだのも、与野党対決だけの感情じゃないはずです。

こと問題となっているところが医学部ですから、小池さんも医師としてまじめ
にやってきたものとして、医学部での不正が特に許せなかったのではないかと
思いますし、私自身そういう気持ちになります。ほかの学部なら不正をしてよ
いと思っているわけではありませんが、少なくとも医師が正義感を忘れてはい
けないと思っている医師は多いはず。そんな医師たちにとって、こういった入
学時の不正、あるいは一部の心ない医療機関での不正診療行為などは本当に心
の痛むことなのです。

しかしこのたびの問題でもう一つ重要なのは、頼まれてホイホイ動く国会議員
もさることながら、頼みに行く方のモラルのことでしょう。国会議員なら金積
んで頼めばなんとでもしてくれるだろうと大金を持っていく有権者、この図式
が改革されない限り、大げさに言えば日本の政治そのものが良くならないでし
ょうね。

せめて、モラルという言葉が陰をひそめてしまわないように・・・


医療保険改悪いよいよ始まる(2002/10/10)

 もうすでにその対象となる患者さまはご存知のことと思いますが、この10月
より第一次の医療保険制度改定「改悪」が開始になっています。まず今回手が
つけられたのは「老人医療の定率化」です。
 多くの老人保健適用の患者さまの元へは「1割」とかかれた老人保険証が交
付されたと思います。これはこれまで病院外来ではすでに導入されていたもの
の、診療所では基本的に1回850円という定額に設定されていた「医療費自
己負担分」が、この10月からはすべての医療機関の外来で、その時にかかった
医療費の1割を自己負担せねばならないというものです。
 ただ、処置や投薬の内容によってはその日の自己負担分が850円を下回る場
合もあると思います。特に、特診受診の患者さまで、あまり多くの投薬のない
場合はそのような事態が起こり得ます。しかし、採血や心電図、レントゲン、
エコーなどの検査を行なうと、その費用の1割がすべて算定されますので、検
査はすればするほどその日に支払う金額は殖えていきます。また風邪などで普
段より多くの投薬がされた場合も支払いは増えることになります。加えてこれ
までは一応の上限があって5000円以上の支払いは発生しませんでしたが、今月
からは窓口での上限はありません。12000円を超えるものが発生した場合は、
後ほど申請によって払い戻しがされる「償還払い制」となっています。
 これは一例ですが、高血圧以外に病名があって複数の投薬と検査がされてい
る場合は、例えば月2回通院で従来1700円で済んだものが5000円近くになるこ
とになります。これが現状で収入の「多い」家庭では2割負担となりますが、
現代の一般的な生活水準から見ても決して多くはないだけの年収で2割となり
ますのでそこにも厳しい現実があることに変わりはありません。
 実際の話として、この10月以降はすこし薬を減らして欲しいとか、2週間分
貰ったものを3週間に引き伸ばして飲んでいるとかというお話にもよく遭遇し
ます。検査についても辞退されることが多くなっています。しかし、本当に身
体に必要な薬剤を節約したり、必要な検査を省略したりすることで病状が悪化
し、あるいは変化の早期の発見ができなくて重症化すると、結果として入院が
必要になったり後に不具合を残したりして却ってお金がかかるということにな
ります。それはやはり高血圧を「管理」していく上ではもっとも避けたいこと
です。
 そのために、診療所の方針としてもまず「薬価」を抑えた「後発品」薬剤を
採用することにしておりますし、検査もこれまでのように一緒にまとめてする
ことを避けて、今日は採血、次回は心電図、というように分けて行なう、など
の工夫をしていこうと思っております。検査の予定表のお渡しも徹底し、その
年間の検査回数も可能な範囲で絞るということも考慮中ですので、どうかおか
かりの皆様におきましても、今回の医療改悪で治療を中断されてしまうことの
ありませんように、よろしくお願い申し上げます。


ついに開戦
 〜アメリカは「正義」なのか?

本日2003年3月20日午前11時半(日本時間)、アメリカはついに国連での最終
決議を待たずにイラクへの武力攻撃に着手しました。当初はフセイン大統領ひ
とりを目標とし、またイラクの兵器を中心としたピンポイント爆撃で、決して
民間人には被害を出さないということのようですが、戦争が始まってしまえば
その言葉も必ずしも守れず、結局は一般民間人にも犠牲者が出るというのは、
以前の湾岸戦争のときにも実証されています。

この間、全世界的に反戦の動きがありました。日本人の中には「人間の盾」と
いうことで攻撃されているイラクに残留している人たちもいます。しかし、実
際イラクの方に分があるか、正義もあるのかと問われれば、国連査察に対して
100%の協力がなされなかったのは事実ですし、実際に国連決議にも違反したス
カッドミサイルを撃ったという情報もあります。フセイン大統領の独裁がイラ
ク国民そのものへの脅威になっていることも考えられますので、イラクに国際
世論を味方にできるほどの正義があるとは思いません。しかし、イラクが「悪」
だからということでアメリカが一人で国連さえも足蹴にするような「正義」を
行使できるとも思えないのです。

あまりいい例ではないですけど、警察に目をつけられて大半の武器を放逐させ
られた暴力団に対して、さらに武器を隠しているだろうと決めつけて、警察で
もない「自警団」が武装して暴力団事務所を襲ったようなものでしょう。武器
を隠している方が悪い、そこを攻撃して武器を全部出させて組長を殺して何が
悪い、と言ってるのと同じです。

イラクはやはり国連の名の元にきちんとした査察を受け、もし本当にまだ大量
殺戮兵器を隠しているなら国連の場でフセインが弾劾され裁かれるべきもので
す。あくまで有罪なのはその国の方針を決め突っ走っている国家元首とそれに
盲従している政府首脳のみのはずです。大統領に鼓舞されて戦争協力の立場に
あるだけで、本来は罪のないイラク国民のすべての生命を脅かす戦争政策には
やはり賛成できません。

何度も主張していることですが、やはり一気に大量の生命を、しかもそれ
を合法化して奪おうとする戦争は全く時代を逆行した愚行であると
思いますし、医療従事者として絶対に認容できないことです。
今回の攻撃開始に際して改めて正式見解としてここに表明したいと思います。
豊中診療所所長 中塚比呂志


市は市民から健診を取り上げるのか

豊中市における市民健診制度は、以前から他の市に比べて結構充実しており、
数年前までは羨ましがられていたものでした。なにせ私が診療所所長に赴任し
た頃は、一般健診が15歳以上無料、各種ガン検診もそれぞれ年1回無料だった
からです。ところが予算の逼迫を表向きの理由に、実は厚生労働省からの「指
導」に基づいて2000年度からこれが一気に改悪されました。一般健診は30歳以
上無料となり、各種ガン検診も全部受けると1000円までの自己負担がつけられ
たのです。この改悪だけで市民の健診受診率は充分減ったと思われました。

この制度が2004年度に再度見直され、自己負担が増えたりするということは早
くから医師会に諮られ、一般健診を大腸癌検診と抱き合わせで自己負担500円、
乳癌健診は視触診のみの検診を廃止し乳腺エコーなどでの集団検診とする、と
いうあたりまでは合意されていました。自己負担が増えるのは厳しいけど仕方
がないかなと言いつつ、それでも反対署名を集めたりしていたのですが、去る
12日の豊中市保健医療審議会で突然

>各種がん検診、骨密度測定
@一部負担金の増額
*実費の2割相当額を基本
*生保非課税世帯員は免除
 ・胃がん        1800円 ← 500円
 ・子宮がん(頸部)   1500円 ← 400円
 ・子宮がん(頸体部)  3000円 ← 800円
 ・乳がん(集団)     800円 ← 200円

 ・肺がん(X線、集団)  200円 ← 無料
 ・肺がん(喀痰、集団)  400円 ← 200円
 ・骨密度(集団)     600円 ← 400円

と言う何ともむちゃくちゃな自己負担の増額を提案してきたのです。これには
同席していた医師会長も憤慨して物別れに終わったということでしたが、どう
考えてもこの増額は納得できない。胃がん、子宮がん、乳がんに関しては3−
4倍という、悪徳商人でもやらないような値上げです。子宮がん(頸体部)3000
円なんて、普通の産婦人科でやってる検診の方がヘタすると安くなりそうです
し、こんな値段でいったい誰が検診を受けようと思うでしょうかね。

これは市民検診を市民が受けられない(受けたくない)ようにわざわざ市の方
が意図しているとしか思えないです。ただでさえ医療費の自己負担が増えて市
民が医療を受ける機会が減っているのに、ここまで市民健診もおとしめたら豊
中市民の「受療権」は大きく侵害されることになります。これはもう憲法違反
にも近いのではないでしょうか。

改めて声を大にして言いたい。

市は速やかにこの大きな自己負担増を撤回して、市民が受けやすい市民健診
制度を復活させるべきだ。

そして市民の皆さんへ。この無体な制度改悪をやめさせるために今一度お力を
お貸しいただき、大きな住民運動にしていこうではありませんか!!