「難病一部負担」
・・・こんな矛盾
トップページで話題にした「特定疾患」の一部負担金のこと
ですが、まず詳細がわかりました。本年5月1日をもって、現在使用
中の特定疾患医療資格はいったん消失し、再申請になります。
基本は定額負担で、1回1000円で、月2回、つまり2000円の
負担になります。又入院の場合、月14000円となります。
(定額制で始まった自己負担が定率制に将来的に移行するのは
常套手段ですから、そのうちにこれがかかった医療費の2割
3割と増えていくのでしょうね。)
問題はやはり「重症」の定義でしょう。公的発表によれば
>B.知事が認定する重症患者
> 対象疾患を主な要因として日常生活に著しい支障がある者で、重症度
> 認定申請を行い知事に重症患者として認定されたもの(概ね、障害
> 年金1級及び身障1・2級に認定基準と同じ)
となっているのですが、この「重症度認定申請」に際し、基準がある
わけです。この基準が結構エエカゲンというか、不備が多いと思われ
るのです。先日のNさんの問題に引き続いて、昨日、今日とこういう
事例が有りました。
まずはYさん。「バージャー病(ビュルガー病)」です。彼は
数年前にはかなりの重症で、両足先切断寸前までいったのですが
点滴と薬物療法で凌ぎ切り、現在は投薬で巧くコントロールされて
いるのですが、この疾患の「重症」基準は「肢体不自由」に準じ
上下肢一方なら両側、片側なら上下肢ともがほぼ機能全廃または
離断でなくてはなりません。この様に判って彼がこう言われました。
「あのしんどかった時、頑張らんと足切っといた方が良かったんで
しょうかな・・・」
そんなことはない、そんな馬鹿なっと思いますけど、言われる気落ち
は痛いほど判ります・・・
そして今日は診療所夜診に来られたTさん。この方の病名は
「脊髄小脳変性症」です。この疾患の重症基準も実は上のビュルガー病と
同じなんですが、この脊髄小脳変性症は、相当末期にならないとADL
低下まで到りませんし、機能全廃なんてのは亡くなる直前の状態です。
四肢欠損にはなるわけがありません。つまりこの疾患名ではほとんど
なりえない状態を「重症基準」にしているわけです。こうなると、この
制度変更した方々はほとんど病気の事をご存じないのではないかとさえ
疑りたくなります。
これからこんな例がどんどん出て来るでしょう。その都度患者さんに
つらい説明をしないといけないかと思うと気が重いです・・・