日常診療の中で・・・

ここでは日常診療の中でのこぼれ話や思うことを・・・

<4月1日> (97/4/4)

先日の月曜日(3/31)妙に投薬だけなんて患者さんが多く
ヘンだなぁと思っていたのですが、とある患者さんの言で
ナットク(^^)。

「明日から上がるんやロー」

4/1改訂はありましたが、医療改悪の方はまだ導入されてない
のだからそんなに上がらない(人によっては安くなる人もいる)
のです。今回の消費税アップで患者さんもみな勘違いが多くて
迷惑な話ですね

<MMK> (97/4/4)

今夜の診療所の夜診での一幕。乳癌が心配だから触診
してちょうだいととあるご婦人が言われるので、診察
しましたが異常なし。本人に説明するととても喜ばれ
ましたが、カルテへの記載でMMK(乳癌)なしと書こう
として思わず

「MMXみられず」

うーん、潜在的要望が出たか(^^;;)

<異動の季節> (97/4/5)

今日は4月5日。来週からいわゆる真の「新年度」ですね。
大阪民医連も異動の季節を迎えています。うちの病院でも
医師の異動がありますが、特に今回は大型で、5人の研修医
が出て行き、2人が入ってきます(大阪民医連内ローテート)。
また新人が3人と、キャリアが2人来ます。

行く人、来る人全部で12名の大異動。歓送迎会も大変ですが(^^;
私のように週の半分しか病院にいないメンバーにとっては、新しい
人と交流する機会がなかなかなくて、慣れた頃に次の異動なんて
ことになっていて、ちょっと寂しい思いをしたりします。

研修医のS先生は、子連れの女医さん。うちの病院での2年間の
最後に私のリハビリ病棟に配属され、私が頭部CTの読影の教育
を担当しました。4ヶ月間でしたが、なんとか数百枚のCTは
一緒に読むことができて、少なくとも内科レベルの読影はでき
るようになってくれているはずです。次の1年間、堺の耳原総合
病院での研修を経て、4年目以降の進路を考えることになります。

自分はあまり変わっていかないのだけれど、こうして自分が
いくらかでもその医師としての研修に関った人達がまた大きく
なっていくのを見るのはいいものですね。そう言えば、最近
マスコミによく登場の奈良医大助手のF先生だって、私が1年目
しごいてあげたんだったな(^^)

なんとなく遠い目をしてしまった年度末でした・・・


<夜診時間帯の変更>(97/4/11)

本年2月から、病院付属診療所での夜診を木曜日から
金曜日に変更しましたが、さらに3月より5時からだった
開始時刻を4時半に繰り上げて見ました。

この時間変更には歴史があります。もう7−8年前になる
と思いますが、パートの先生が担当していたのを私がひき
ついでやりはじめた頃、週1回だというのに患者数は15人
に満たず、開始時刻は6時でそれでも8時には終わっていま
した。

ところが、私が自分の病院外来であふれた患者や同じ診療所
の午前診であふれた患者を引き連れて受け継いだものだから
たちまち5時半開始でないと間に合わなくなり、それでも
終わらなくなって最近は5時開始にしていました。

現在夜診の平均患者数は40人強ですが、5時開始では8時を
すぎることが多くなり、今回曜日変更を機に、ちょっと
冒険かなと思いましたが4時半開始にして見たのです。
ところがこれが好評(^^)

4時半から5時半までの1時間で、診療所のご近所のおとし
よりや家庭の主婦層が20人近く来られます。その第一波
が過ぎて6時過ぎ頃から今度は近くの会社などで仕事を終
えた勤労者層が来られます。前はこの辺が調度重なって
待ち時間が長くなっていたのですが、この重なりがなく
なった事で、第2波の患者さんの待ち時間がぐっと減った
のです。

あとは7時から7時半まで、駆け込みで来られる方や中断
しそうになって電話で呼び出されてこられる方を待てば
よく、この間はぼつぼつ。7時半にはだいたいきっちり
終われますが、これでなお以前より平均患者数が増えて
くる結果になったのです。

単に遅くまでやればサービスになる、というものでもない
ねと事務長あたりとは話している今日この頃でした・・・

<職員総会の日に・・・ >(1997/4/29)

今日は休日を利用した診療所の96年度職員総会の日でした。
診療所のことですから、職員が全員出席するためにはどうし
ても休日利用になるわけです。

本日のテーマは、医療活動の96年度総括と97年度方針の決定
ということなのですが、婦長の問題を理事長が婦長本人に
伝えていなかった事もあって、例によって途中で脱線し(^^;)
予定を30分もオーバーしてしまった(ーー;)

まぁそれはええとしまして、そのあと病院で病棟もチェック
してCTの読影をして・・・家に帰ったのは17時過ぎ。子供の算数
を見ながらステーションに新しく来たパートの看護婦さんの
写真を貼りこんでホームページの更新作業をして、ちょうど
18時になったので夕食となりましたが、子供と話をしながら
食事していると、どうも私の部屋で携帯が鳴ってる気がする
のです。

先に家の普通の電話に電話する事になっているのでおかしいな
とは思ったけれど一応見に行ってみましたが鳴ってない。
「チャクシンアリ」の表示も出ていませんでした。

ところがさっきのこと。居間で久しぶりに子供とNHKの歌
番組を見ながらいろいろ話していたら、またもや携帯の音が。
「なんか、空耳かなぁ」と言いながら見に行ったら、今度は
本当に鳴っていました。そして診療所の主任から・・・

「Iさんが18時過ぎに亡くなったそうです・・・」

I氏はうちの診療所のシンパで、出資も多くしていただいて
いた古い患者さんですが、この冬に進行胃癌が発見され、私
の病院に入院されていたのです。先日も顔を見に行ったところ
だったのに・・・

考えすぎかもしれませんが、亡くなった時間がちょうど私が
携帯電話のベルの空耳を覚えた時に一致するのです。彼は
私のファンだとも公言していただいていましたから、知らせ
に来てくれたのでしょう。医者のくせに非科学的な事を、と
言われても、私はそう信じます。

奥様の話では、最期も苦しまず、眠るようだったと言う事です。
彼が一番嫌がっていた事が何一つなくて、本当に良かった(;_;)

さようなら Iさん

<予防接種にも慣れてきた>(1997/5/7)

うちの診療所では、一応所長、前所長、パート医とも完全に
小児科専門医というのはいないのですが、標榜している関係
から小児はきちんと診ないといけない。特に、月一回、木曜日
の午後に随時乳児健診をやっているのと、水曜日のお昼には
所長の責任と言う事で私が後期乳児健診と予防接種法に基づく
予防接種を委託されてやっています。

予防接種は法律に基づく委託ですから、その注射器を持って
注射している瞬間は私は公務員になるのだそうで・・・(^^)
だから事故が起きても責任は親方日の丸ということになるのだ
そうです。でもやはり事故なんて起こって欲しくない。
そこで一生懸命問診も取り、診察も行ってから注射するのですが
今日こられた日本脳炎接種希望の子には困ってしまいました。

本人はとても元気で風邪の徴候もなく、「チューシャはいやだぞー」
なんて逃げ回っているのですが、診療所で測定した体温がなんと
37.4℃(^^;)。実は申しあわせで37.5℃以上では中止する事になって
るのですが、本人元気だし機会をのがしたくないと言う思いは
こちらとおかあさんで一致してるわけですね。で、いろいろ話し
あった末、おかあさんの同意の上で豊中市で作成している問診表に
サインもしてもらって実施とあいなりました。

ぎゃぁぎゃぁわめいてたけど、こちらも皮下注射には相当慣れて
きましたから、アルコール綿による冷却麻酔も利用してあまり
痛がらせずにはすみました(^^)。

今夜熱発のありませんように・・・

<患者さんもいろいろいます>(1997/6/14)

今日の高血圧外来は、例によって50人まるまる予約が入って
いたのですが、15日が日曜日である前日の土曜日であるせいか(?)
来れないから薬だけ出してくれと言うのがなんか多かったですね
(大阪以外の方に注釈:15日はゴト日といって集金などで通常忙
 しい日なわけですが、それが日曜日に重なるので前日の土曜日
 に用事をすまそうとするわけですな)

それでも45人ほどの患者さんを診察したのですが、高血圧の患者
さんは一定の性格があるなんて書かれてる書物もあるけれど、
少なくとも私の外来を見てる限りではそんな事はないですね。

家庭血圧はとてもいいくせに、外来へ来て測ると絶対に収縮期
血圧が180を割らない人なんかを「白衣高血圧」と称しますが、
逆に病院だと安心して下がるけれど家にいるといろいろ不安で
上がると言う人だっています。

また、外来というと緊張して、前日から節制して酒も煙草もやめ
て、当日は朝からおとなしくして(^^)一生懸命その日の血圧を下
げようと努力する割にはやはり高い人がいる一方で、脳梗塞の後
遺症で通院中のMさん(家庭の主婦53歳)なんかは、外来だから
といって決して家事をサボることはなく、今日もあわてて布団取
り込んできたとかいって、それをにこにこしながら話してくれて、
それでもせいぜい170止まり・・・

このMさんは脳梗塞で入院された時は、全運動性失語で全く喋れ
なかったけれど、この持ち前の積極性と明るさで、今や完全に話
せるまでに復帰した人です。普通こういう人はあまり高血圧にも
脳卒中にもなりにくい(B型性格ってヤツですね)と言われるけ
れど、やっぱり血圧も上がれば脳梗塞起こす事もあるわけですな。

こういう考察が一日外来をしているだけでいろいろできます。
本当に人間の観察って面白いですね。

<Tばぁさま、寝ててね>(1997/8/21)

久しぶりに高齢患者さんシリーズと行きましょう。
Tさんはもう入院して1ヵ月近くになります。多発性脳梗塞
に慢性硬膜下血腫を合併しており、脳外科でも高齢なので手術
適応はないと断られて当院へ入院されました。もっとも、脳萎
縮が強いゆえに硬膜下血腫があっても圧迫所見がないので、意
識レベルなどには問題がありません。

しかし、大変な問題がありまして、意欲がことごとくないので
食欲もなく、そのわりに点滴など自分の身体になにかされてい
ると言うことにはとても敏感で、持続点滴を苦労して入れても
すぐに自己抜去してくれるのです。これではとても危険なので
すが、だからといって家人がついてくれるわけでもないので、
様々な方法でこれまで対処して来ました。

IVH(中心静脈からの高カロリー輸液)も何度かトライする
のですが、手の届くところだとすぐに抜いてくれます(;_;)
足の先の方からの末梢輸液なら抜かないけれど、栄養がそれで
は不足して来て、もう低蛋白がどうしようもないところまでき
ています。ここしばらくはIVHすらやりにくくなり、何度と
なく失敗を繰り返していました。でももう限界・・・

今日はやむを得ず、エコーで確認しながら左の股静脈という
非典型的な場所へ頑張って入れました。挿入部を二針で固定し、
ガーゼで覆ったあと、延長チューブを2回ループを作りながら
左大腿部へ固定し、パジャマの下を通して足先へ出しました。
はっきり言って少々引っ張っても抜けない仕様ですが、それで
も彼女には無限の時間があります(^^;)から、どう対応して来る
やら・・・なんとかあまり気にせず寝てくれることを祈るばか
りです。

やれやれ・・・

<おばーはん、ふてくされる(^^;)>(1997/8/28)

一般外来の8番目は、2週に一回、Sばあさまの指定席
です。もう80(まだ80と言うべきか??)になる彼女は
高血圧や狭心症はあるものの、自由な人で身体はあまり動か
ないくせに「口は立つ」しっかりしたばあさまです。

しかし、今日私の診察場へ入って来た様子が少し違いました。
どうも眼に力がありません。家人から情報を得ると、5日ほど
前から左の手の動きが悪いとの由。本人は認めたがりませんが
やはり握力が落ちていて、挙上も困難なようです。でも血圧の
上昇はなく、昨日今日の発症ではないようですが、やはり一番
脳血栓が考慮されます。

家人ともいろいろ相談したのですが、やはり血栓の進行も危惧
されるし、リハの必要度などのメリットも考え、入院と言う方
針になりました。しかしどうやらばあさまはこれがお気に召さ
なかったようでして・・・

外来が終わって病棟に上がって彼女の所へ行ったのですが、
私の方に背を向けて寝ています。「おばーはーん」と声をかけ
るのですが、振り向いてくれません。
「こんなところにはいとうない。点滴なんか要らんぞ、はよ
帰してくれい・・・」
と、完全にゴキゲン斜めです。しかたがないので、点滴はし
ないからちゃんと食事をとってね、と約束して今日は引き下
がって来ました。リハビリもごねるでしょうけど、これは
やってもらわないと困ります。

一晩寝たら覚悟決めてね>ばあさま・・・(__)


<Fさんのペースメーカー>(1997/9/11)

今日1ヵ月ぶりに外来に現れたFさんは88歳。
高齢者淘汰説を地で行くような元気なおばぁはんです。
彼女との出会いはもう13年前にさかのぼります・・・

当時研修医だった私や同期のS先生(現在北海道えりも町
診療所で活躍中の結構有名になってしまった女医さんです)
に、高度な徐脈でへたっていた彼女を「一症例」として上
の先生から担当をまかされました。

一応の主治医はS先生でしたが、すでに循環器の研修を
するといっていた私は、当時外部専門研修から帰って来た
ばかりの指導医の先生と一緒に彼女へのペースメーカー
植え込みを行いました。(余談ですがこの指導医の先生は
今やうちの病院の副院長でおます)

まだ13年前のペースメーカーは、現在のような高度な
機能はなく、心臓の自発脈がでたときだけストップして、
他のときは時計のように一定の脈を打ち続けるだけの機械
でした。電池の寿命も6年が限度、ということだったので
すが・・・

S先生が転勤され、私が外来の彼女の主治医になったのが
2年目の事です。それから12年間彼女を月に一度診察
してきたのですが、6年でなくなるはずの電池が、7年
経っても10年目にも減って来る兆候が見られないのです。
だから彼女もこの13年間風邪一つ引かず、体調良好の
まま過ごして来ているのです!

いったいいつまで保つのだろうと思っていたのですが、今回
ペースメーカーチェックを行ってもまだ減ってないと(^^)。
これは実はとてもすごいことなのです。

何でこんな素晴らしいことになってるんだろうと、業者とも
議論してみたのですが、一番可能性の高い理由としては、
植え込み以降本人の脈が全くでず、完全に機械のスイッチが
入ったままになってるからではないか、ということです。
たいていの電気製品がそうですが、電源の頻回なオンオフは
機械を傷めます。逆に全く同じペースで使った場合はとても
電池の減りも機械の傷みも少ないだろうと予想されるわけ
です。

それにしてもすごいね>Fさん・・・